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761/100 偉い、という二面性 

2025/12/18
761/100 偉い、という二面性 

「偉い」という言葉には、

最初から二つの顔がある。

ひとつは、

行動に向けられる「偉い」。

続けている。

逃げずに向き合っている。

結果はともかく、ちゃんとやっている。

こういう場面で使われる「偉い」は、

人を前に進ませる言葉だ。

もうひとつは、

立場や自己評価に向けられる「偉い」。

もう分かっている。

ここまで来た。

教わる必要はない。

この「偉い」は、

少しずつ人を止めていく。

ややこしいのは、

同じ言葉なのに、

向きが変わるだけで意味が反転することだ。

人は誰でも、

自分を偉い場所に置きたくなる。

それ自体は自然なことだ。

ただ、その場所に居座り始めると、

空気が変わる。

質問が減る。

違和感が共有されなくなる。

そのうち誰も、

服の話をしなくなる。

裸の王様が生まれるときは、

たいてい静かだ。

偉さをまとおうとする行為は、

成熟ではなく、むしろ幼さに近い。

成熟している人ほど、

自分を「偉い側」には置かない。

分からない場所に立ち続ける。

「偉い」という言葉は、

使い方ひとつで、

背中も、足も止めてしまう。

だからこそ、

行動に向けて使うのがちょうどいい。

立場を守るための言葉になった瞬間、

その偉さは、

幼さに変わる。

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