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環境管理センターブログ

2026/05/23
910/1000 こころはコロコロと  

人との出会いというのは、本当に不思議だ。

数年に一度しか行かないような場所で、なぜかバッタリ会う。

少し立ち話をしただけなのに妙に盛り上がって、そのまま次につながっていくことがある。

 

冷静に考えれば、ほとんどゼロみたいな確率だ。

あの日、少し家を出る時間が違っていたら。

別の道を通っていたら。

「今日はやめておこう」と思っていたら。

きっと会わなかった。

 

でも、そういう偶然ほど、人生を静かに動かしていく。

 

ただ、その出会いが良かったのか悪かったのかは、その時には分からない。

いや、もしかすると最後の最後まで分からないのかもしれない。

 

苦しかった出会いが、何年も経ってから自分を支えていたと気づくこともある。

逆に、運命のように思えた出会いが、自分を遠回りさせていたと知ることもある。

 

結局、それを決めるのは出来事そのものではなく、自分の心なのだろう。

 

けれど、その心をいつもフラットに保つというのは、人間にはかなり難しい。

嬉しい日は舞い上がるし、嫌なことがあればすぐに色眼鏡で見てしまう。

期待もするし、落胆もする。

 

「こころ」はコロコロと転がる。

 

昨日まで平気だったことに傷ついたり、どうでもよかった一言に救われたりする。

夕方の風景ひとつで気持ちが変わる日もある。

 

だから人は、同じ出来事でも、その時々でまったく違う意味を与えてしまうのだろう。

 

このこころの波がたとえば30年後なんかに大きなうねりになる。


2026/05/21
908/1000 息子が選んだレコード   

テストが終わって、ようやくゆっくりしている様子だった。

息子はレコードをかけながら、漫画を読んでいた。

流れていたのは、ビル・エヴァンスのライブ盤。

 

私も隣で一緒に聴いた。

特別な会話があったわけじゃない。

でも、とてもいい時間だった。

 

昨年、息子の誕生日にレコードをプレゼントした。

その後、プレーヤーとスピーカーも揃えた。

息子と音楽を一緒に聴きたかったからだ。

 

あれから一年。

息子が初めて自分で買ったレコードが、ビル・エヴァンスのライブ盤だった。

 

いつもはイヤホンで、一人で音楽を聴いている。

それはそれで今の時代らしい聴き方なのだと思う。

 

でも、レコードには少し違う空気がある。

 

針を落とすと、「これちょっと聴いてみて」と、誰かと共有したくなる何かがあるのだろう。

 

便利さだけならスマホの方が圧倒的だ。

けれど、盤を取り出して、針を落として、スピーカーから音を流す。

その少し面倒な時間の中に、人と同じ空気を共有する余白みたいなものがある気がする。

 

ビル・エヴァンスを聴きながら漫画を読む息子を眺めていたら、

「こういう時間が欲しかったんだな」と思った。

2026/05/19
906/1000 「ワンツー・ワンツー」が聞こえていた頃   

最近、子供の頃のことをよく思い出す。

私が育った街には、よく移動販売が来ていた。

八百屋や焼き鳥屋、北海道直送の牛乳屋。今思えば、小さな商店街が、そのまま住宅街を巡回しているような時代だった。

そして彼らは決まって音楽を鳴らしながらやって来る。

遠くから聞こえてくるメロディーで、「あ、来た」と分かるのだ。

中でも強烈に覚えているのが、水前寺清子 の「三百六十五歩のマーチ」。

暗くなり始める頃、遠くからあの軽快なリズムが聞こえてくる。

“ワンツー、ワンツー”

すると子供だった私は、なぜかそわそわした。

窓の外を見たり、外へ飛び出したり、「今日は何を売っているんだろう」と胸を躍らせたり。

結局、その車が何屋さんだったのかはよく覚えていない。

けれど、「ワンツー・ワンツー」のリズムだけは、今でも身体が覚えている。

今思えば、あれは物を売りに来ていたというより、“夜の入り口”を知らせに来ていたような気もする。

夕焼けが少しずつ青に変わり、家々の明かりが灯り始める頃。

どこか遠くで犬が吠えて、台所からは夕飯の匂いが漂う。そんな街の空気の中を、「三百六十五歩のマーチ」が妙に陽気に流れていた。

今は、しんと静かな街だ。

あの頃のように、音楽を鳴らしながら走る移動販売車もほとんど見なくなった。

窓を開ければ誰かの気配がした街は、ずいぶん静かになった。

便利にはなったのだと思う。

欲しい物はすぐ届くし、わざわざ外へ出なくても暮らしていける。

だけれど、あの「ワンツー・ワンツー」と聞こえてきた夕暮れの高揚感は、もうどこにもない。

子供たちの声。

夕飯の匂い。

西日の色。

家へ帰る時間の空気。

一番戻りたい時代とは、案外ああいう、何でもない夕暮れだったりするのかもしれない。

2026/05/17
904/1000 四畳半、占領される   

四畳半というのは、本来「自分だけの部屋」だったはずだ。

好きな音楽を流したり、本を読んだり、ちょっと一人になったり。そんな場所だったのだけれど、最近そこが妙に賑やかになってきた。

 

息子が新しいテニスラケットを買ってきて、私の部屋に置いた。さらにベースまで持ち込み、アンプにつないで弾き始める。

 

妻は妻で、自分の愛機である掃除機を置く。

 

娘は娘でアップライトピアノを置き、やはり弾く。

 

気づけば、もはや私の部屋ではない。

 

 

ただ、不思議と嫌ではない。

 

むしろ、みんなそれぞれ、自分の好きなものや大切なものを自然とここへ持ってくる。その感じが少し嬉しいのだ。

 

息子も、完全に一人の部屋で弾くより、誰かの気配がある場所の方がいいのかもしれない。娘もそう。妻の掃除機も、たぶん「ここなら置ける」という安心感なのだろう。

 

四畳半は狭くなった。

 

でもその分、家族との距離は少し近くなった気がしている。


2026/05/15
902/1000 弁当という、静かな贅沢   

お昼は、妻の作った弁当を食べている。

これが本当にありがたい。

外回りや現場仕事をしていると、「昼に何を食べるか」というのは意外と大きな問題だ。コンビニに寄るのか、どこかで食べるのか、混んでいる店に並ぶのか。忙しい日は、その選択すら面倒になる。

 

たまには「今日は何を食べようかな」と楽しみに働くのも悪くない。ラーメンでも定食でも、その土地の空気を感じる昼飯には、ちょっとした贅沢がある。

 

だけれど、毎日となると話は別だ。

 

弁当というのは、ただ食事を運んでいるだけではない。朝の時間を使い、こちらの一日を想像しながら用意してくれている。蓋を開けると、なんだか生活そのものが詰まっている気がする。

 

妻にとっては子供達の弁当を作るついでなのかもしれないが、毎日ちゃんと自分の分もあるというのは、やはりありがたいものだ。

 

しかも不思議なもので、弁当だと食べ過ぎない。午後も重たくならず、仕事に戻れる。結局、一番身体に合っているのかもしれない。

 

若い頃は、こういうありがたさが分からなかった。

毎日を静かに支えてくれているものほど、本当は贅沢なのだと。

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