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環境管理センターブログ

2026/01/17
891/1000 見えない壁をぶち壊す   

当社ではここ数年かけて、事務所の書類をすべて見直してきた。

棚にあるもの、倉庫にあるもの、個人の机の中にあるもの。

部署ごと、担当ごとに分かれていた書類を一度すべて集め、出して、確かめ、分類し直す。

いわば、事務所の「総点検」だ。

全部を取り出して、確かめる作業。

正直に言えば、気が遠くなる。

ファイルを開けては閉じ、束をほどいては分け、また戻して、また迷う。その繰り返しだ。

整理そのものは、根気さえあれば完成する。

やることは単純だ。出して、分けて、決めて、戻す。

時間はかかっても、手を動かし続ければ、必ず終わりは来る。

それでも、ここまで来るのに6年かかった。

やっと、ゴールが見えてきた。

長かったのは、作業ではない。

書類は、ただ黙ってそこにある。

責めもしないし、主張もしない。

立ちはだかるのは、いつも人だ。

私たちは、つい書類を「自分のもの」にしたがる。


辞めた人のデータ・書類、取り残されていた書類。

自分の引き出し、自分のフォルダ、自分しか分からない場所。

それは責任感でもあり、愛着でもあり、ときに不安の裏返しでもある。

しかし、仕事の書類は、本来、誰かの所有物ではない。

みんなで使う情報資源だ。


このプロジェクトはトップが本気で取り組まないと進めるのはかなり難しい。人の壁が分厚いからだ。
だから、整理収納のプロでよかったなと感じる。ノウハウ×役割があったから、後継者のトップがやって6年。
得るものは大きかった。

これは本当の意味でバトンをつなぐということ。
これまでとこれからの間に壁は存在する。
しかしこれは見えない壁、誰も悪意はないのだ。

それを顕在化させて壊してゆく。魔法の様にすごい仕事だ。

2026/01/15
789/1000 面接官を仰せつかった夜   

末の娘の高校受験が近づいている。

学校でも面接練習が始まっていて、

どうやら娘は「模範的な回答」を一生懸命、覚えているらしい。

もっと長く話した方がいいと先生に言われたそうだ。

先生の本意が本人に伝わっているのかは、正直あやしい。

けれど、とにかく長く話せるように頑張っているようだ。

そんな流れで、

家でも「面接官役」を仰せつかることになった。

これまでも、何人かの子どもたちにやってきた。

小林家の面接練習は、ノックして入室するところから始まる。

そこだけは、なぜか本格的だ。

「どうぞ」

と言うと、娘は少し緊張した顔で入ってくる。

……が、照れ隠しか笑ってできない様子。

聞くと、

昔、上の子たちの練習のとき、

なぜだか分からないが、私は大声で怒ったことがあるらしく、それで子供達みんなで隠れた記憶が蘇ったらしい。

私はまったく覚えていない。

けれど子どもたちは、そういう場面だけ、よく覚えている。


気を取り直して面接練習スタート。

質問を投げると、

教科書みたいな言葉が返ってくる。

明らかに目が泳いでいて、

暗記した文章を声に出しているだけで、どうにも心がない。

「……それ、本当にそう思ってる?」

と聞くと、娘は少し間をおいて、

「思ってない」

と、正直に言った。

私は思わず笑ってしまった。

「自分の言葉で話せばいいんだよ。

 志望理由が本当に思っているなら『制服が可愛かったから』でもいいんだよ」

そう言うと、娘は少し困ったような顔をして、

でも、もう一度、話し始めた。

さっきより短い。

言い直しも多い。

でも、さっきより、ずっといい。

内容じゃない。

正解でもない。

“その子が話している”感じが、ちゃんとあった。

面接試験の意図というのは分からない。けど見ているのはきっと

自分の言葉で、この場所に立とうとしているか。

それだけだと思う。


そしてこれは、

「それらしい言葉」を使い回す私達大人にも問われていることでもあるなと

面接官役をしながら、ちょっと思った。


練習を終えて、「絶対合格するから大丈夫!」と何の根拠もない
心から感じた私の言葉を娘にかけた。

娘は真面目な顔をして頷いた。

2026/01/13
787/1000 必要なのは、答えではない。変化だ   

お片づけの現場に立っていると、ときどき首をかしげることがある。

なぜ、この家のボトルネックが見えないのだろう。

なぜ、打開策が立たないのだろう。

物の量の問題でも、収納の問題でもない。

明らかに流れが止まっている場所がある。

けれど話を伺っていくと、いつの間にか全く関係のない「自分はこういう人間で」という話になり、できない理由が次々と積み上がっていく。

この光景は、業務改善の現場とまったく同じだ。

工程の話をしているはずなのに、性格の話になり、忙しさの話になり、昔話になる。

現象は語られるのに、構造には触れられない。

人は不思議なほど、同じ場所で滞り、同じ場所でつまずく。

話を聞きながら、ときどき思ってしまう。

本当に見えていないのだろうか。

それとも、見ないようにしているのだろうか、と。

ボトルネックが見えた瞬間から、現実は動き出す。

決めなければならないことが生まれ、変えなければならないことが現れる。

自分のやり方に手を入れる必要が出てくる。

人はそれを、本能的に知っているのかもしれない。

だから話は、自称に流れる。

事情に流れる。

できない理由に流れる。

けれど、お片づけも業務改善も、突き詰めればとてもシンプルだ。

変えられるのは、自分しかいない。

ここに気づいたとき、世界の見え方が変わった。

そして同時に、これはとても楽しいことだとも思った。

自分の頭で考える。

小さく動いてみる。

置き場を変える。

聞き方を変える。

順番を変える。

すると必ず、何かが起こる。

部屋が変わらなくても、会話が変わる。

会話が変わらなくても、見え方が変わる。

見え方が変われば、次の一手が生まれる。

動けば、必ず変化は起こる。

多くの人が欲しがるのは「答え」だ。

正解が欲しい。

これをやればうまくいく、という地図が欲しい。

けれど現場に立っていると、はっきりしてくる。

答えなんて、いつも変わっていく。

暮らしが変われば、正解も変わる。

会社が変われば、やり方も変わる。

自分が変われば、見える世界が変わる。

昨日の答えは、今日の前提にはならない。

だから私は、答えを出して終わりにしたくないと思っている。

答えを出して、思考を止めるな。

答えは仮置きでいい。

それよりも、動き続けること。

試し続けること。

変化を起こし続けること。

お片づけも、業務改善も、経営も、暮らしも、

必要なのは「正しさ」より「動き」なのだと思う。

動かせる自分でいること。

更新できる自分でいること。

必要なのは、答えではない。

変化だ。

2026/01/11
785/1000 息子とベースを買いに行った話   

高1の息子と楽器屋に言った。ベースを買うためた。

私は高校一年のときにギターを始めた。

だから、息子が高校の音楽クラブでベースをやりたいと言った時、始めるには、いいタイミングだと思った。

二人で楽器屋へ行き、壁一面に並ぶギターやベースの前に立つ。息子は急に無口になり、目だけが忙しく動く。何本か触るうちに、一本、やけに手に馴染むものがあった。

値札を見る。

……予算の二倍。

ん〜どうしよう。

一旦、家に帰ろう。

ショップにいると、冷静な判断ができなくなる。これは自分の経験でよく知っている。

家に戻り、妻に相談する。三人で話す。すると息子が、「俺も出す」と言って、貯めていた虎の子を出すと言う。

私はこれまで、何を手にするかで、その後の取り組みが変わる場面を何度も見てきた。

「一本目は妥協するな」

これは、一本目に限った話ではないのかもしれない。

予算も、分相応も、もちろんある。

その中で妥協すると、それは後悔になる。

とくに、趣味の物なら、なおさらだ。

それで、決めた。

一本目にしては、かなり上等なベースを手に入れた。

家に帰ってアンプにつなぐ。

ぼん。

低くて、丸い音。

ここからだな、と思った。

チューニングメーターの使い方、アンプのセッティングやフォームを軽く教える。私がギターを始めた頃は、チューニングができて音が出るようになるまで一か月かかった。それが息子は一時間。


息子の学校で出された課題曲は、モンゴル800の「小さな恋のうた」だという。

発表は、一か月後。

それを見ていた末の娘が言った。

「私、ドラム買ってほしい。」

……なるほど。

うれしい悲鳴、というやつかもしれない。

このベースが、埃をかぶって、しまい込まれるか。

それとも、一生の趣味になるのか。

それは、まだ分からない。

私もかつて、父に連れられて、仙台の楽器屋でギターを買ってもらった。

その日のことを、私は今でもはっきり覚えている。

今日が、息子にとっても、

そんな一日になってくれたらと思う。

私も小さな恋の歌のギターの練習を始めた。
合わせるのが楽しみだ。

2026/01/09
783/1000 便利で気の毒な社会   

今日は、市役所と税務署に行った。

用事自体は、よくある事務的なものだ。

けれど建物に入った瞬間、手続きより先に、ある風景が目に入った。

多い。とにかく高齢の方が多い。

椅子に座り、番号札を握り、窓口を見つめている背中が並んでいる。

「こちらはLINEで登録していただいて、予約してからになります」

「マイナンバーの暗証番号、分かりますか?」

窓口の向こうで、担当の方がやさしい声で聞いている。

もちろん、高齢の方は分かっていない。

それは怠けているからでも、努力が足りないからでもない。

ただ、その仕組みが、その人の人生の速度と噛み合っていないだけだ。

後ろを見ると、列はどんどん伸びている。

誰も怒っていない。

誰もサボっていない。

みんな真面目で、ちゃんとしようとしている。

だからこそ、そこに漂っていたのは苛立ちではなく、

全員が、少しずつ気の毒な空気だった。

印象的だったのは、説明している担当者の方の表情だ。

彼は相手にこの情報が伝わっていないことを理解している。


私たちも、高齢者の依頼者が多い。

中には、自分の住所が言えない人もいる。

カレンダーに書いてある電話番号を見て、

「これ、何の番号だったかな」と言いながら、

粗大ごみの依頼を忘れて電話を日に何度もかけてくる人もいる。


誰かの助けがないと、

もう手続きどころか、

日常そのものが成り立たない人たち。

そしてその「誰か」は、

家族だったり、近所の人だったり、

ケアマネさんだったり、

そして時々、私たちだ。


実は私自身も、電子申請にチャレンジはする。

けれど結局、紙で出していることが多い。

正直に言えば、それが本物なのか、詐欺なのか、

一瞬わからなくなることもある。

分かっていない人。

分からせられない人。

ついていこうとしている人。

今日の窓口は、これからの社会の仕事風景そのものだった。

仕組みが先に進み、

人の速度が、少し遅れている。

その間に立って、

今日も誰かが、説明し、聞き、支えている。

便利で気の毒な社会だ。

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