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81歳になる父が、仙台から「萩の月」をお土産に帰ってきた。
聞けば、船舶免許の更新講習に参加してきたのだという。
父は30歳頃まで船乗りだった。世界の海を航海し、船長として船を任されていた時代もある。
丘に上がってからは、船を操縦する機会はほとんどなかったと思う。それでも81歳になった今も免許を更新する。
実際に船を動かす予定があるのかは分からない。
それでも父にとって船舶免許は、単なる資格ではないのだろう。
人生の大切な時間を海の上で過ごし、船長として責任を背負ってきた証。その誇りを手放したくないのかもしれない。
一方で、妻の父は今年、自動車運転免許を返納すると話していた。
長年当たり前のように運転してきた車を手放す決断である。
こちらもまた簡単なことではない。
自由に移動できる手段を失うだけでなく、自分の年齢や身体の変化を受け入れる決断でもあるからだ。
父は免許を更新する道を選び、義父は免許を返納する道を選んだ。
まったく逆の選択に見えるが、どちらも自分の人生と向き合った結果なのだと思う。
大切なのは更新することでも、返納することでもない。
自分で考え、自分で決めること。
年齢を重ねるほど、その決断にはその人らしさが表れる。
萩の月を食べながら、そんなことを考えた。
人生には正解が一つではない。
それぞれの決断があり、それぞれの人生があるのだ。
928/1000 区切りをつけるということ
物の整理は心の整理と言われる。最近、「ゼイガルニク効果」という心理学の言葉を知った。人は完了したことよりも、未