東京まで行けなかったテレビ
2026/08/22
上京している娘から、「要らないテレビがあったら送ってほしい」と連絡がきた。
ちょうど家に、今は使っていない32インチのテレビが一台ある。
それならちょうどいい。
とはいえ、テレビがすっぽり入るような都合のいい段ボールなんてない。そこで大きめの段ボールを2箱持ってきて、切ったり貼ったりしながら上手に組み合わせ、我ながらなかなか上手に梱包した。
あとは送るだけ。
妻に宅急便への発送をお願いして、私は出かけた。
ところが家に帰ってみると、苦労して梱包したテレビがそのまま置いてある。
「あれ、送らなかったの?」
妻に尋ねると、なんでも新品のテレビならともかく、自分で梱包したテレビを送るとなると、かなり送料がかかるらしい。
その金額たるや、下手をすると新しいテレビが一台買えるほど。
配送受付の方からも、少し怪訝な顔をされたのだとか。
「これ、本当に送りますか?」という感じだったのだろう。
結局、娘は東京で自分でテレビを購入することになった。
考えてみれば、32インチのテレビも今ではずいぶん安く買える。
昔なら、家に余っているものを子どもに送るなんて、ごく普通のことだったような気がする。
「まだ使えるんだから、買うのはもったいない」
そう思って一生懸命梱包したのだけれど、モノそのものの値段より、それを遠くまで運ぶ値段のほうが高くなってしまう。
なんだか不思議な時代である。
そして我が家には今、段ボール2箱を巧みに組み合わせ、私がかなり丁寧に梱包した32インチのテレビだけが残っている。
せっかくまだ使えるテレビなのだから、今度はリユースショップにでも持っていこうかと思う。
東京まで行くはずだったテレビ。
どうやら鶴岡市内で、第二の人生を送ることになりそうだ。

