778/1000 本気は人を動かす。
2026/07/22文化祭が終わった高校生の息子。
今年の正月、自分でベースを購入した。それからというもの、家では時間を見つけてはベースを弾いている。
「文化祭でバンドやらないの?」
そう聞いたことがある。
「一緒にやる人がいないから。」
そう答えていた。
文化祭当日。
ステージではダンスやバンド演奏が次々と繰り広げられる。
その光景を見ながら、どこか落ち着かない様子だった。
きっと、「あそこに立ちたかった」という思いがあったのだろう。
数日後、同じようにうずうずしていた友人から声が掛かった。
「来年、一緒にバンドをやろう。」
いい話だ。
ところが、さらに驚いた。
息子の担当はアルトサックスだという。
「おお、コルトレーンでもやるのか?」
そう聞くと、
「いや、マルサ。」
最初は何のことかと思ったら、『丸の内サディスティック』のことだった。
しかし問題がある。
息子はアルトサックスを持っていない。
それどころか、一度も触ったこともない。
「どうする?」
と聞かれたので、
「やったらいい。」
と答えた。
「でもサックスは?」
「いいものを買えばいい。」
「お金は?」
そこで二人とも黙った。
新品を買うとなれば、それなりの金額になる。
どうするのだろうと思っていたら、息子が動いた。
大切にしていたビンテージのスニーカーを何足か売る段取りを始めたのだ。
自分で集め、自分で大事にしてきたもの。
それを、自分の次の挑戦のために手放そうとしている。
誰かに買ってもらおうとしているのではない。
自分で何とかしようとしている。
その姿を見て、「本気なんだな」と思った。
本気というのは、不思議なものだ。
言葉で説明しなくても伝わる。
「やりたい」という熱量は、周りの人の心まで動かしてしまう。
もし足りない分があるなら、その時は父が背中を押そう。
でも最初の一歩は、自分の力で踏み出そうとしている。
それが何より嬉しかった。
来年の文化祭。
サックスが上手に吹けるかどうかは分からない。
でも、自分で決め、自分で行動し、自分でステージに立つ。
その経験は、きっと一生の財産になる。
父としては、そんな一年を心から応援したい。

