972/1000 見守る勇気
2026/07/16
ちょうど今はツバメの巣立ちの季節。
会社のテラスに、5羽のヒナが次々と降りてきた。
最初は巣から落ちたのかと思い、一度巣へ戻してみた。しかし、しばらくするとまたテラスへ降りてくる。
どうやら、巣立ちの時期を迎えたようだ。
親鳥は何度も餌を運んでくる。でも、一羽だけ少し離れた場所にいて、「あの子は餌をもらえるのだろうか」と心配になった。
近くへ連れて行ってあげようか。
そんな気持ちが何度も頭をよぎる。
それでも、ぐっとこらえた。
幸い、このテラスには猫もカラスも来ない。親鳥もちゃんとヒナを見つけて餌を運んでいる。今は飛ぶ力がまだ足りないだけで、もう少しすればきっと大空へ飛び立っていく。
自然には自然の流れがある。
人間の優しさが、時には成長の機会を奪ってしまうこともあるのだろう。
もちろん、本当に危険な時は手を差し伸べることも必要だ。
でも、見守ることもまた、優しさの一つなのだと思う。
巣へ戻した時、小さな声で「ピー」と鳴いた。
その声があまりにも可愛らしくて、思わず連れて帰りたくなるほどだった。
それでも、この子たちが本当に目指している場所は、私の手の中ではない。
庄内の広い夏空だ。
人もツバメも、いつかは巣立つ。
その時に必要なのは、手を出すことだけではない。
見守る勇気。
そんなことを思ったりした。

