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765/1000 M-1ほど、ライブで見たくなるものはない

2025/12/22
765/1000 M-1ほど、ライブで見たくなるものはない

昨日、漫才日本一を決める

M-1グランプリ が開催された。

そんな夜、親友からLINEが入った。

「M-1なんか、俺が緊張するわ〜」

思わず、少し笑った。

舞台に立つわけでもないのに緊張する。

けれど、その気持ちはよく分かる。

彼はエバース推しだった。

実は、私も息子も、やはりエバース推しだ。

決勝一回戦、エバースのネタは圧倒的だった。

空気を一気に持っていく力。

結果は一位通過。

「これはいったな」と、家の中の誰もが感じていた。

だが、M-1は最後まで分からない。

三組に絞られた最終決戦。

そこで一気に景色を変えたのが、たくろうだった。

たくろうのネタは、考えなくてもスッと入ってくる。

説明を待つ必要がない。

設定が提示された瞬間、もう頭の中に情景が浮かぶ。

気づけば笑っていて、

気づけば、その世界に入り込んでいる。

審査員の 塙宣之 さんが言っていた

「絵が見えるネタ」という言葉が、これほど腑に落ちたことはない。

その強度が、たくろうはずば抜けていた。

エバースの緊張感と構築力。

たくろうの没入感と自然さ。

どちらが上、という話ではない。

ただ、あの場面で、あの空気の中で、

一番深く刺さったのが、たくろうだった。

結果発表を見て、

息子は静かにうなずき、

私は少し悔しくて、それでも納得していた。

しばらくして、息子がぽつりと呟いた。

「M-1ほど、ライブで見たくなるものはないよね」

なるほど、と思った。

あの数分間は、編集もやり直しも効かない。

その場の空気、間、緊張、すべてが一度きりだ。

だからこそ、あれほど心を掴まれるのだろう。

この結果には、きっと誰もが納得だっただろう。

そして、わずか4分間のステージに、

どれだけの熱と時間を詰め込んできたのか。

そう想像した瞬間、胸の奥が、じんわりと熱くなった。

だから、他人事なのに緊張する。

だから、推しが負けても、拍手をしてしまう。

M-1は、笑いの大会でありながら、

本気で積み上げてきた時間を、

世代を越えて共有させてくれる夜なのだと思う。
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