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就職して初めてのボーナスで買った、マランツのアンプとB&Wのスピーカー。
当時の私は、自分の部屋で音楽を聴く時間が、何よりも大事だった。
でも、子どもが生まれ、家がにぎやかになっていくにつれて、
その大切な時間も、機材ごとどこかに追いやられていった。
気がつけば、音楽を聴くのはもっぱら車の中。
そしてあのスピーカーたちは、最後には公共施設に寄付された。
いい人生だったよな、などと感謝すらして。
それから25年。
久しぶりに、スピーカーを買った。
オーディオテクニカのBluetoothスピーカー。30W。
昔ほど大きくはないけど、ちゃんと“鳴る”。
コードも要らない。スマホひとつで、すぐに自分の世界ができる。
設置場所はもちろん、自室。
音楽を流してみると、驚くほど気持ちがいい。
久々に、音の中に身を沈める感覚。思わずボリュームを少しだけ上げてしまう。
すると、部屋にこもりがちだった息子と娘が、音に引き寄せられるように顔を出してきた。
ふたりとも無言で入ってきて、リズムに合わせて首を縦に振っている。
「最高じゃん!次、俺選曲していい?」と息子。
娘も、自分のスマホをBluetoothに接続しようとしている。
25年ぶりのスピーカーが、まさか子どもたちとの小さな橋渡しになるとは思ってもいなかった。
が、ひとつ問題がある。
スピーカーが届いて以来、妻の機嫌があきらかに悪い。
「なんでいまさら、そんなに音を鳴らすの?」
「子どもたちより、あなたのほうが青春してるじゃない」
「ていうか、うるさい」
…ごもっともである。
けれど、心のどこかで思ってしまうのだ。
デカイ音を鳴らすと、自分が少しだけ“自分”に戻れる。
だから、ちょっとくらい許されないだろうか。
いや、…ダメかもしれないな。